Monday, June 18, 2012

システム開発と単語帳のない外国語学習

1 はじめに

エルムラボに参加させていただいて、私自身の取り組む学習(プロジェクト?)の概要を発表いたします。
公には「中国語学習」(私の現段階では初級)を掲げましたが、普通の外国語学習では面白くないので、なんらかの付加価値を見いだすことに挑戦しようと思います。これは同時に、モチベーションの維持にも繋がると考えており、そして同時に 知識の多角化 にも発展すると思います。 このブログのタイトル、「Knowledge Has No Boundary」にもあるように、知識には 境界線 というものがありません。人間の知識は全てなんらかの関係を持ち、教育の過程で分岐されるのは単なる便宜上のものです。知識を得る過程でむしろこういった便宜上の境界を意識せず、「知識世界」を自由に定義し取り組むことが、知識吸収力の向上並びに、応用力の向上へと繋るのではないかと思います。当然、「中国語学習」という観点からはかなり遠まわりになることは否めませんが、長い目で見た近道を目指します。
これから取り組むのは当然「中国語学習」ですが、二つの大きなコンセプトを付加しようと思います。
  • システム開発によるオンライン教材活用の効率化
  • 単語帳のない外国語学習法の確立
というものです。当面の間は、自身の大好きな高機能エディタ、Emacsを使ってこの方法を進めていこうと考えています。勿論Emacsユーザー自体多くいるはずもないことは承知していますが、結果的に良いものとなればWebサービスという形に(おそらくRailsで)発展させることを視野に入れていますので、ITに精通している方には特にコンセプトだけでも目を通していただけて、意見・批判などを頂けたらと思います。
まず初めに、「境界のない知識」について説明し、その後、具体的なプロジェクトコンセプトを説明します。

2 Knowkedge Has No Boundary

「中国語」と一口にいっても、一つの言語は多くの側面を持ちます。 現在使われる中国語と、過去のそれとは大きく違っているでしょう(ここでは中国語の細かい分類は無視しています)。その変化・発展には歴史が反映され、文化が影響し、社会情勢を写します。かたや純粋に「言語」という観点からは、その構造や発音を母国語と比較することに加え、機械(コンピューター)による処理(自然言語処理)や、心理学的側面を観ることができます。もちろんこの図で表わされる以上の可能性があるでしょう。


単に一つの外国語として捉えるのではなく、無限に広がる知識世界の ハブ として認識し、その学習過程で多くの開かれた可能性を意識することで、その後の可能性を広げることができるのでは、と考えています。その 知識世界 定義は十人十色で、私自身の場合は、自然言語処理とシステム開発、そして、人間の記憶を司る、心理的側面を組み合わせてみようと思っています。
私は飽きっぽいため、外国人との会話という単純な目的意識では作業も単調になり、学習を継続するモチベーションを維持するのも困難になりかねません。こういった既存の教育方法に囚われない学習法こそ、21世紀の新しい教育機関に問われるのではと思います。

3 新時代のローカル学習環境:システム開発

新時代の学習方を開拓するならば、UI(ユーザーインターフェース)を研究するのも当然のこと。
インターネット上に様々な学習教材が存在し、無料で提供されている多く、学習への金銭的コストは多きく下る現代。同時にその情報の膨大さ故、情報リテラシーが高くない人々には混乱の原因になりかねません。それはコーディネータという情報通な人達が解決してくれるでしょう。しかし問題はそれだけではないと考えています。

3.1 操作性では紙のノートや書籍にはまだまだ敵わない

インターネットがいかに情報化を加速させたとはいえ、こと教育のプロセスを考えると、情報の一方通行ではなく、 ユーザー自ら相互的に活動すること が不可欠です。紙とペンのアナログで言うと、ノートにまとめたり、問題を解いたり、といった活動を示します。
その手軽さや低コスト化が進む電子書籍も普及するなかで、今だに紙の書籍を好む人は多いでしょう。この私自身もできることなら紙で出版された書籍のほうが好ましいと考えています。ノートも同じように、ペンを持ち、紙のページに書くという手軽さは捨て難いという人は今だに多いでしょう。そこには自分の手で持ち、操作し、保存や閲覧をするという、 操作感 を感じとることができます。
こういう意味で、インターネット上の教材やシステムはまだまだ手軽さに欠け、Webブラウザ上とはいえ、分散したページ間をあっちへこっちへと飛び、まとめるのは手元の紙のノートかパソコンソフト。これでも効率的といえばそうでしょうが、システム開発次第では更なる向上の可能性があると思います。
現段階では残念ながら、現存するWebサービスがAPIを公開してくれなければ、それらを統合して個々のユーザーに合ったUIを構築することは不可能かもしれません。しかし、研究課題としては将来の展望を見据えて、今から取り組む必要性を強調します。

3.2 Emacsの可能性:全てを統合するもの

IT系の方なら、使わないまでもその存在はご存知かもしれませんが、細部までカスタマイズ可能な高機能エディタです(Wikipedia: Emacs
※プログラミングに精通していない方は、間違ってもEmacsを使おうとは思わないでください!必ず挫折しますw
その可能性はプログラミングのみならず、通常の文書作成からWebブラウザ、Twitterクライアント、様々な計算ソフト(Maxima, R, Octaveなど)のインターフェースとしても活躍します(ちなみに、このブログの文章もEmacsで作成し、HTMLを自動生成しています)。
とても特殊なものなので万人向けではないと承知していますが、なによりも私自身の手によく馴染んでおり、効率的な学習UIを研究するにはとても良い材料になります。

4 単語帳のない外国語学習

私は外国語学習において、「単語帳」で暗記作業というものはデジタル・アナログ問わず、非効率だと考えています。
外国語学習において、暗記作業は欠かせません。インターネットの普及に共なって、瞬時にどんな情報を得ることが可能になっても、こと外国語学習においては単語や表現を完全に暗記してく必要があります。瞬時に理解し口頭や記述による生成は、暗記以外に方法はないことは確かでしょう。ここで問題にするのは、その暗記する方法です。
古来より単語帳なるものを作成し、何度も繰り返し見返し、記憶に焼き付けていく作業が行なわれてきたと思われます。それはデジタル化が進んだ現代でも変らず、電子端末が紙のそれを代価したにすぎません。その方法を無駄とは言うつもりはありません。もっと効率的な方法があるのではないかと思うのです。

4.1 最終的にどんな記憶となればいいのか

外国語学習の目的は実践力です。対人であれどうあれ、必要な表現を間髪入れずに理解・生成する必要があります。まず、外国語を習得するまでの語彙の習得はどいう経緯を辿るかをみてみましょう。

  • 模索期:単語の暗記を繰り返し、記憶の中を 意識的 に検索する時期。一応は暗記はできているが、瞬時には出てこない
  • Passive vocabulary phase:外部からの情報(読み・聞き)によって、瞬間的に単語の意味を思い浮べることができる
  • Active vocabulary phase:自ら必要な単語を瞬時に発声・記述できる
これは本題とは少し逸れますが、日本の現状では「Passive vocabulary phase」以上がその外国語を出来ると判断される傾向があります。TOEICなどの試験の問題点はこの段階までを測る内容になっていること。しかし、本当に語学力が問われるのは「Active vocabulary phase」であることは覚えておく必要があるでしょう。


このように学習プロセスを考慮すると、先程の「境界のない知識」と深く関係しています。

4.2 ネットワーク型知識

例えば一つの単語を考えましょう(わかりやすいように、日本語を使います)。「法律」という単語を考えます。「法律」を思い浮べてください。頭のなかにどう表現されますか?
「弁護士」、「裁判所」、「国会」、「犯罪」…どんどん関連単語が思い浮ぶでしょう。専門分野に近い「法律」という単語でも、限りない 関連性 が生れます。

「歩く」ならどうですか?無限に関連単語が思い浮かぶでしょう。これが 言語の記憶 なのです。言い換えると、
  • 単語はそれ単体で存在するのではなく、他の単語との 知識ネットワーク を構成する一つの構成員
  • 知識ネットワークは動的に変化する柔軟性を持つ

このように、一つとして独立した単語は存在しない。全ての単語や表現は他のものと関係を持ち、 その 関係性を断ち切って暗記した単語は、外国語のために生きた記憶とはならない のです。

4.3 積層型知識

これは数学などの知識と比べるとより一層明確になります。
算数に始まり、高等教育では数学へと発展するこの学問で得る知識は「積層型」です。 基礎となる(この場合は算数の)知識を土台とし、それを応用し更なる知識を上に詰み上げる。こうやって積み木のように積み上がった上層部の知識は、下層の知識を必ずしも必要とはしません。なぜなら既に 下層の知識が上層の知識に組込まれている からです。

Civilization advances by extending the number of important operations which we can perform without thinking of them.
by Alfred North Whitehead
その点、語学の知識は違います。 全てがネットワーク化 され、各々の知識に頻度の違いはあれど、優劣はありません。

4.4 従来の単語暗記作業の問題点

単語帳は個々の単語が単体で表記されているのが通常です。文章で複数の単語をまとめて暗記を効率化しようとする方法もあります。しかし問題は、どちらでも 静的バラバラ な記憶を確立させるという点。

たった一つの単語でも、それが使われる状況は無限に存在し、そしてそれらの状況を事前に予測することはまず不可能です。一つ一つ暗記した後、いくつもの会話などの練習の後に、個々の単語を知識ネットワークへと昇華させていくのが従来の方法です。これが非効率だと思います。どんな単語であってもそれを携える記憶は常に 動的 である必要があり、それを身に付ける過程は 動的である、かつネットワーク型であることを常に意識できれば効率化が図れる のではないかと考えています。


初めからネットワークを築いていければ…

4.5 単語帳のない、とは?

単語帳がないと言っても、完全になくなるわけではありません。あくまで、ユーザーには単語帳の存在を感じさせないシステムを指します。それは、
  • 学習進歩と平行して、 個々のユーザー独自の知識ネットワークを模倣したデータベースを動的に構築していき、ユーザーはそのネットワークを自在に辿ることで、自身の記憶へと転換していける
というものです。
従来であれば、
  1. 文章などのソースからまだ知らない単語を選び、リスト形式で記入(もしくは電子端末などに入力)
  2. そのリストを何度も見返して暗記を試みる
  3. 再度単語がなんらかのソースで出現した場合、自身の記憶を探り、単語の意味を思い出す
  4. 1~3を繰り替えす
という流れになるでしょう。プログラムの力を使いそれを
  1. ユーザーが使う外国語のソースから、プログラムで単語帳を自動生成
  2. 単語データベースを元に、次にユーザーが使うソースを分析し、個々の単語の情報(既知か、新出か、頻出か、など)を検出
  3. ユーザーはその情報を元にそのソースを読み解く(必要に応じてデータベースから意味を確認)
  4. 1~3を繰り返す
  5. その都度、ユーザーの確認作業をもデータ化し、学習パターンの統計データを取る

一見前者と後者は(1~4に関しては)同じもののように感じるかもしれませんが、大きな違いがあります。 後者では、ユーザーが読み解く以外の操作が自動化されるため、実際の「読み解く」回数を格段に向上させることができ、知識のネットワークを自在に辿ることができる (はず)。

ユーザーは単語と出会うたびに、この学習システムは導き出される関連性を生成・蓄積していきます。そのデータベースは個々のユーザーに合せてつくられているため、 そのユーザーの記憶を模倣した知識ネットワークを構成 しています。単語を独立した存在ではなく、ネットワーク全体として記憶に焼き付けていければ、と考えています。

5 おわりに

これはあくまで実験です。システムが完成したとしても、実際に外国語の向上につながらなければ意味がありません。自分で外国語を勉強しながら、自分で実験するという試みです。 上手くいくといいなぁ、としか今の段階では言えませんw

Author: Soichi
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Saturday, June 9, 2012

無料オンラインコースを終えて:長所・短所

1 はじめに

14週間続いたMITが提供する、無料オンラインコース、MITx(エレクトロニクス)が終了しました。私個人としては、最後の期末試験で撃沈してしまい、コースはパスしたものの、期待したような最終成績ではありませんでした(泣)



この他にも終了したコースは:
  • スタンフォード:人工知能(基礎となる概念のコース。ほとんど数学・確率統計)
  • Udacity:人工知能プログラミング(実際のプログラム手法)
  • スタンフォード:機械学習(人口知能の分野の一つ。機械が自ら考え情報を分析するようにプログラム)
これら全て実践的で、最終的にはプログラミングのスキルを身に付けるのが目的です。そのため、課題もほとんどがプログラムをするというもの(残りは概念などの選択問題)。自分でも無料で受講するのが申し分けないと感じるくらい、充実した内容でした。
このエントリーは、これから増えていくであろうこういった無料のオンラインコースを実際に受けてみた感想や長所・短所などをまとめてみたいと思います。特定の内容ではなく、複数受講して感じた全体的な考察になっています。

2 無料オンラインコースの長所

2.1 無料である

言うまでもなくこれが最大の長所でしょう。「良い教育 = 高いコスト」と言われて久しいですが、その常識を覆す世の中になってきたようです。 インターネットは様々なもののコストを下げてきました。特に、情報の伝達に関してはそのコストは限りなくゼロに近づき、誰でも無料で情報を得ることができる世の中です。それは同時にその情報の信憑さに関しては自己責任となってしまい、正しい情報かどうかを判断できる人とそうでない人との間では「リテラシー問題」へと発展してしまうこともあります。しかし、こういったオンラインコースは、既に学問的業績で世界的に知名度の高い大学が提供してくれます。MIT、スタンフォード、プリンストンなどで席を置く教授達の授業であることは、その内容にかなりの信頼性が置けます(ハーバードも近々参加予定)。そのため、信憑性や得られる知識の実践性に関しては議論の余地がないと感じました。
しかし続く短所の項で述べるように、「無料である」ということは短所にも成り得ると思います。

2.2 世界屈指の授業が受けられる

提供する側にとっては所属の大学の名誉に関ることですから、無料だからといって手を抜くわけにわいかないでしょう。宿題あり、試験ありと、内容はとても濃いもので、自分も授業についていくために外部資料・書籍を色々探しながら必死で努力しました。 良質かつ実践的な知識を身に付けるのには努力を要するのは当然のこと。その動機付けを行なうことこそ、教育機関、ならびに教員の質が問われるところでしょう(単なる受講生ながら、生意気な分析をお許しください…汗)。そういった意味で、これらのコースは(少くとも自分が受講したものは全て)、受講生への動機付けはすばらしいものでした。
特に、上記の「Udacity:人工知能」のコースは、先日話題となった self-driving car を開発した、Sebastian Thrun本人が教えています。つまり、世界一の実績を持つ人物です。こんな人の授業を無料で誰でも受けられる…世界は大きく変わったな、と感じずにはいられません。
これは余談ですが、自分が米国に留学中には、ほとんど全ての授業で教員、内容、教科書などの生徒による評価をしました。内容によってはその教員は降格や授業から外されるなどの処置を受けるようです(実際にそうなった人を知っている)。授業の内容を充実させようとする米国の競争社会の厳しさでしょうか。ですので、こういった有名大学で教員の地位を維持するのは、本当に大変なことであり、その質は当然良くなるのでしょう。

2.3 自分の都合の良いときに都合の良い場所で受講できる

通常学校に通うということは、一日の決った時間帯を完全に拘束されるということでした。しかしオンラインコースではそんなことはありません。講義の動画を見たい日に、見たい時間に再生することができます。しかもたいていの場合、講義動画のスピードを変えることができ、私自身、常に1.5倍速で聞いていたため、相当の時間短縮につながりました。 宿題も期限以内に提出すればいいので、何日もかけて少しづつやっていくことができます。(直前にやろうとすると、内容の難しさから、提出は間に合わないと思われますので、宿題は計画的にw) 同時に物理的に特定の場所に拘束されることがありません。自宅であろうと、カフェであろうと、自分の好きな場所で受講できます。そうなると、仕事の合間に講義を聞くなんてことも可能でしょう。
良質な教育を受けるためには、授業料だけでなく、その施設・機関の近辺への滞在費も必要になります。滞在費用も節約でき、引越しをする必要がなくなったというのは、「無料」であることの意味はもっと大きくなるでしょう。

2.4 ノートを取る必要がない

今考えてみると、学校教育ではノートをとる作業がとても無駄だったなと思います。先生は同じ内容を他のクラスでも教え、その度に黒板に同じ内容を書いていく…先生の作業・生産効率もさることながら、それを印刷して生徒に配ってしまえば、他のことに時間を費せるはず。そもそもノートをとると言っても、生産的なノートのとりかたをしている学生はほとんどいるわけもなく、黒板の丸写しをするだけでしょう。そのノートを後で見返して役に立ったと感じた経験があまりありません(私、字もきたないので、自分で自分の字が読めなかったり…泣)。
オンラインコースではノートをとる必要は基本的にありません。すべての講義動画が残るので、何度でも見返すことが可能。しかも、講義で使われたスライドなどはPDF形式などでダウンロード可能です。コースによっては講義の内容を文字に起したテキストファイルが用意されており、パソコンの検索機能を使って素早く必要な情報に辿りつくこともできます。
もちろん、これだけ充実した内容に加えて自分だけのノートを取れば、生産性は更に上ることは間違いないでしょう。例えば、「教科書××ページを参照…」、「××Webページが役に立つ」などです。私は、コース以外の関連Webページをブックマークする形でノートとしていました。

2.5 協力する力を身につけられる

過去のエントリーでも説明しましたが、授業内容に関する質問は基本的に、同じコースを受講する生徒同士でします。そこには御互いに向上しようという精神がなくては成り立たないでしょう。
近年、日本の教育現場で批判の対象となるものの一つが、「競争」という概念でしょう。運動会の徒競走などで、順位を決めずにみんな同時にゴールさせる、というニュースには驚かされました。それは「競争」という概念を理解していないのではないかと思います。 基本的に競争に勝つには2つの方法があると思います。
  • 他の人より実力を身に付ける
  • 他の人を蹴落す
どちらが健全なものかは自明です。そして、「競争」と「協力」は共存できることを知らない人が多いのではないでしょうか。
これらのオンラインコースでは、質問フォーラムでは同じ生徒同士が協力しあい、理解できない人にヒントを与えたりしていました。同時に、クラスの内容を越えたプログラムなどを発表したりする人も多くいました。 他の生徒の知識の向上に「協力」し、同時により良いものを生産することで「競争」する、そんな世界が広がっていたのを感じました。日本の教育現場にもこういった概念が広がる日が来るんでしょうか…

2.6 試験はオープンソース

MITxでは中間試験と期末試験の二つがありました。他のコースでも最低一つは大きな試験があり、上記の「協力」をすることを制限する形で行われます。他の生徒との協力以外はどんなソースを見ても可能で、当然講義の動画、スライドもそのまま見ることができます(生徒同士で協力を頑なに拒否し合うことも、御互いの向上につながる「協力」と言えるかもしれないが…)。
これがなにを意味するかというと、
  • 試験前に特定の勉強時間を設ける必要がない
  • 応用問題が主となる
学校に通っていたときは、試験前というのは特別な雰囲気、もしくはスケジュールとなり、生活パターンをそれに伴って変化させていました。しかし、これら無料オンラインコースではそんな必要はありません。暗記の必要もなく、コースの内容を理解しているかが問われるわけで、試験前に詰め込んだところでそれが変化するわけでもありません。これも教育にかかる時間を大幅に短縮させるのではないでしょうか。
同時に、試験内容は応用問題が主となります。そのためMITxの期末試験はとても難しく、私は撃沈したわけですから…
しかし、このオープンソースという長所は同時に大きな短所になると、私は考えています。それは続く短所の項で説明しますが、これから無料の教育材料をコーディネートしたいと考えている方々には特に、注意・注目してほしいところです。

2.7 宿題・試験の成績というものに意味がない

私の受講したコースは全て、宿題・試験は何度でも再提出可能でした(MITxのみ、試験は問題ごとに再提出は3回まで)。つまり、正解を得るまでやりなおしができます。そこには成績の概念がなくなるのでは、と予感できます。
教育の目的は生徒に知識やスキルを身に付けさせること。その学校やコース内の成績で競争させることではありません。競争して良い成績をとることには一定の意味はあるでしょうが、試験の答案が返され、その点数に愕然となりつつも、間違えた箇所により敏感になり、知識は向上した…そんな経験は誰でもあるのではないでしょうか。 最終的に向上に繋がりさえすれば、その過程での成績など大した問題ではありません。宿題・試験を提出し、×を食らえば、持ち帰りやりなおす。それを繰り返して自らを向上させていく、そんな機会をこれらのコースでは与えてもらえました。過去に、学校の試験の度に落ち込んでいた自分はなんだったんだろう、と感じます。

3 無料オンラインコースの短所

次は短所についてです。各コースには当然のことながら、前提となる知識(prerequisites)が要求されますが、ここではそれを問題にはしません。あくまで全体的に、一般的に見た場合の短所です。

3.1 無料である

長所で上げれらていながら、短所にも上ることに違和感を抱くかもしれませんが、無料であることは大きな短所にも成り得ると考えられます。それは 有料であることはモチベーション付けの理由になる からです。
「お金を払っているのだから、絶対にやりとげなければ…」というモチベーションは、最良とは言い難いかもしれませんが、健全であり、知識・スキル向上のためには有益となることは間違いありません。無料であるが故、途中で投げ出しても誰も文句を言いません。自分も痛い目にあうことはありません。ドロップアウトする誘惑が、常につきまとうことになってしまう。
最後までやりとげるモチベーションをいかに創出するか、そこまではこれら無料のコースは教えてはくれません。外部の要素が必要になるでしょう。
私はどうやって最後までやったかと言うと、そういう人間だからですw 自慢するつもりはありませんが、周囲からも「君は自制心が強いね」と言われます。しかし、コースを3分の2くらいまでこなせば、後は惰性で行けるのではないかとも感じていますが…

3.2 英語力は必須

各コースのほとんどは言語的障害をなくす必要性をかかげ、その手段を提供していますが、基本的英語力は必須と言っていいと思います。講義動画は文字に起してあり、わからない単語は動画を止めて調べればよい。様々な言語に翻訳され、字幕表示されますが、それらはボランティアの人達が提供してるため、講義がアップされてから翻訳が提供されるまで数日の時間差があり、それを待っているのは生産的とは言えないかもしれません。
同時に、質問フォーラムのほとんどは英語で、他の言語でも質問は可能ですが、回答が付く可能性は格段に下るでしょう。
英語で、しかも動画スピードを上げても理解に支障がでない、くらいが生産的な受講の仕方ではないでしょうか。
これは日本の未来にも大きく影響してきます。
本来ならば金銭的・地理的理由で高等教育を受けられない人達が、ある日を境に突然世界屈指の教育を受けられるようになった、ということです。それには世界的に普及しつつあるインターネットと英語力のみが必要です。平均的に英語のできない日本は…世界に置いてきぼりを食らうのではないか…と。

3.3 孤独である

質問フォーラムやSNSで交流はあるものの、基本的に一人で受講している感は否めません。はっきり言います。
孤独です。
ぼっちに慣れている私は平気ですが…w

3.4 試験はオープンソース

上記で述べたように試験はオープンソースであるということは長所であると同時に、短所でもあります。これはインターネットの普及によって、誰でもどんな情報を入手できることにも言えることです。一言で言うと、
  • ほんの少し考えれば解決することでも、答えを外部ソースに探しに行ってしまう
という行動を促してしまうことです。 実際の試験では、ほんの少し考え、工夫するだけで解けるはずの問題にも関らず、ついついインターネットに類題を探してしまい、無駄な時間を費やしてしまったことが何度かありました。これはこれらのコースをこれからの教育の主体とする場合に、大きな課題の一つとなることは間違いありません。
情報をいつでも入手できることは、教育の過程から(外国語学習以外は)暗記というものに意味をなくしてしまいます。しかし、自分の頭で考えることをしなくなる人達が増える可能性は大いにあるでしょう。もちろん、インターネット上に無限に存在する情報が全て正しいわけでもなく、それらを有益なものと判断するかは我々エンドユーザーに委ねられています。しかし、その力を持ち合わせているのは、平均を遥かに上まわった人達のみ。あくまで平均的な人達を基準に教育を考えていく必要があるわけで、そうするとオープンではなく、クローズドの試験にも一定の意味があるな、と感じました。
情報を得る力と、自分で考え創造する力…それらのバランスをどう構築していくか、これからの課題ではないかと思います。

4 最後に:英語学習者へ

英語力がまだまだの方達はこういったコース受講に憧れているかもしれません。ですが、あえて言わせてもらうと、
憧れている暇があったら、とっとと受講してください
これらは無料です。途中でドロップアウトも可能です。宿題・試験を一切やらず、講義動画をひたすら聞いているだけでも大丈夫です。アメリカの大学の授業がどれだけのスピードで、どれだけ内容が濃いかを知る機会でもありますし、英語学習の向上につながるのは間違いありません。
内容は理系のものが大半ですが、文系の授業も増えてきています。失敗しても痛くも痒くもないなら、挑戦すべきです。これも、英語学習の教材と思って…

過去のMITxの記事

オンラインコース



Author: Soichi
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MIT無料コース:教育の機会と日本の未来

まだまだ続くMIT無料コースはどんどん難しくなってきます。
その途中で気になる映像があったので、記録しておきました。

09)


写真の手前に映っているこの人は教壇ではなく生徒のほうを向いていますね。静画ではわかりにくいですが、この人は手話で講義を耳の不自由な人に伝えているようです。おそらく学校が用意してくれているのでしょう。

僕自身がアメリカ留学時代にも両足が不自由でほとんど歩けない生徒がいました。その生徒は通常の学費を払い、学校が車を所有している生徒にバイト代を払って、この障害者の移動を助けていました。 流石はアメリカ。全ての人に平等の機会を!という思想では世界有数でしょう。

しかし現実は平等からは程遠く、ハーバードなどの有名私立大学の学費は天文学的。その機会を得られるのは、ズバ抜けてできる人が奨学金を得て通うか、学費を払える金持ちか、に限られるのがほとんどようです。まあ、かなりできる人でなければ授業についていけないという事実もあるでしょうが。

最近話題のこの有名大学が提供する無料コースは、発表されたときは話題に上がるようですが、その後あまり話を聞きませんね…日本人にとってどう映ったのでしょうか? 興味のある人、内容を必要な人は限られているのは確かでしょう。しかし無料で提供する背景には、批判の強い不平等な教育の機会を少しは緩和したいという思惑も透けて見えてきます。

高すぎるとも言われる日本の大学進学率を考えてみると、教育の機会と言われてもピンっとこないかもしれません。しかし、世界的に見るとこの無料コースはとてつもないインパクトがあると思います。それは

新興国や発展途上国の、本来ならば経済的に教育の機会に恵まれない人達が、ある日を境に突然高等教育を受けられるようになった。

ということです。ディスカッションフォーラムでは、英語が苦手にも関わらず、一生懸命質問に参加している人達がかなりいます。その質問ぶりから相当力を入れて取り組んでいることがわかります。その人達の素性はわかりませんが、質問に答える側も下手な英語など気にせず、しっかりと答えを返しています。本当にやる気のある人は少しくらい不自由でも、チャンスがあればそれにしがみつくハングリー精神を持っているものです。

惰性のように行われる日本の教育ととても対照的で興味深い傾向ですね。しかも広がっていくオンライン講座の可能性は、英語力なくしては味わえない。日本の場合はまず「英語教育」という大きなハンディキャップを背負ってしまっていて、世界の中では致命的な差になってしまう気がしてなりません。

MIT無料コース:知識は過去のもの、教育は未来のもの

引き続き、MITの無料公開コースの話です。

右の写真のこれがなんだかわかりますか?transistor


 少しでも電子回路を触ったことがある人なら誰でも知っているでしょう、トランジスターです。
トランジスターは20世紀最大の発明(と僕は思っている)で、トランジスターラジオによって世界的企業に上り詰めたソニーは知る人も多いでしょう。
他にも現代の形のパソコンはこのトランジスターの発明によってなされ、ムーアの法則で表されるように、情報化社会の立役者です。

しかし電子回路の観点から言うと、初学者にはその動作を理解するのが難しく、僕自身過去に挫折した経験があります。そのリベンジにとこのコースを受講しているのです。

さて、このトランジスターは人間の歴史にある日突然現れたわけではなく、様々な知識の積み重ねの末に誕生しました。
人間は過去に築かれた知識を更なる創意工夫によって改良を重ね、今に至る訳です。

MIT--
このように、トランジスタは真空管を代価する半導体として誕生し、MOSFETという更にその進化版も生まれます。 人間の知識の進化を見て取れると思います。


35)
それにしてもこのコースは分かりやすい。動画での講義だけでは足りず、これまた無料で公開されている教科書を読み込む必要はあるものの、生徒の理解を深めるという意味でとても有意義なものです。
 
説明のわかりやすさはいろんな要素が絡んできますが、このMITのコースを受けていて「知識の積み重ね方」について学ぶことがあったので書いてみます。

わかりやすく人にものごとを説明するには、語彙の選択、例え方、図による説明など様々な要素が重要になりますが、ここでは「全体構成」についてです。。

上記のように、トランジスターは人間の知識の積み重ねの結晶ではありますが、現代では単なる通過点にすぎません。ではこのコースで実際にどういう順番で教えているかというと…

CopyofMIT--



トランジスター涙目…orz

過去の知識が現代の礎になっているとはいえ、それが現代そして未来に活きる知識となり得るとは限らない、ということでしょうか。未開拓の荒野をさまよい続け、自ら終着点を探していくことは尊いですが、一旦その終着点が発見されれば最短距離を見つけられる。その新たに発見された最短距離こそ、次世代の教育にふさわしいものとなるのでしょう。

知識は過去の遺産であるが、それを伝える教育は常に未来を向いていなければならない。決して過去を振り返るものであってはならない。

自論ですが…

これは外国語教育にも言えるかもしれません。「子供は文法を習って言葉を覚えるわけではない」という批判を耳にしますが、僕はそれには反対です。一旦大人になれば感覚的に学ぶ力を失ってしまう。その反面、理屈で学ぶ力を身につけます。文法という体系から入るのは、それだけでは不十分とはいえ、理にかなっています。

それだけではありません。僕は根っから理系脳で、昔から歴史の授業が嫌いでした。「こんなのなんの役に立つの?」といつも愚痴をこぼしていました。今考えるともっといい教え方があるのでは、と思います。

逆に教えればいい。

Untitleddrawing

現代から歴史を逆にさかのぼりながら教えていく…今起こっていることへの因果関係が明確になるのではないでしょうか(理系脳の戯言と取ってもらってかまいません)。

この世に無駄な知識などありません。でもそれが活きるかどうかはその知識をどう積み重ねてあるか、にかかっていると思います。

無料オンライン大学と日本の未来

先日の記事に関係して、今考えていることを書きます。

 44)

こういった無料で公開されるオンライン授業は「開始される!」という情報がTwitterで流れてきますが、どうも実際に受講している、という人が日本人の中には少ないようなきがしてなりません。
理科系の内容ですし興味のない人は当然受講しない、 といったところでしょうか。
それとも英語力が不足しているから受講できない…といった人もいるかもしれません。

去年も人工知能の無料オンライン授業を受講し、 今年に入ってこのMITのエレクトロニクス、並びに実行知能の続きを受講している僕の今感じることを書いてみようと思います。

日本という国の現在の国際情勢における未来は、悲観的な見方が大勢を占めるようになってきたようです。多くの専門家を初め、各種業界からも日本には未来を見いだせないという意見をよく耳にします。
当然のごとく、僕自身も同感せずにはいられません。
その背景には新興国の代等があり、日本国内の政治、経済ならびに教育システムの問題が浮き彫りになります。政治・経済はともかく、教育システムの是非はこの無料で公開されているオンライン大学授業が大きく関係してくると思います。

無料で公開されているということは、経済的に高等教育が受けられなかった人が、ある日突然受けられるようになった、ということです。 

この日本では大学進学は特に特別なことではなく、毎年多くの人が進学し、その大学からまた社会へ排出されています。その普通さ故、大学生に成り立ての人や新卒の人たちは特にその意味を考えることがないように思われます。しかし、いざ卒業し客観的に教育システムを眺めてみると、多くの問題点が浮き彫りになってきます。

ちきりんさんの「間欠泉的キャリアの勧め」 でも言われているように

MIT無料コース3週目突入報告…:質問がある場合は?

先日の記事に引き続き、MITの無料公開講座、エレクトロニクスを受講しています。
ようやく2週目の宿題が終りました。計算に頭を使いますね…まあ、理系科目なんてこんなもんですが。


55)


この先生は面白すぎます(笑)
この映像は電子回路のデモンストレーションなのですが、なんと着替えて音楽に合わせてダンスを踊りながら教室に入ってきました。思わず僕も吹き出してしまい、実に楽しいコースだな、と実感した次第です。
電子回路に「ノイズ」を入れるというデモンストレーションで、そのためにチェーンソー(手に持っているが、刃はついていない)を振り回し、回路にノイズを起こしました。非常にユニークな先生で、他にも「...digital land...」と言うところを「Disneyland!...oh, execuse me..」とわざと言い間違えたりと、個性豊かで遊び心に満ちた教授です。

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こちらは電子回路を視覚的・直感的に理解してもらうために出されたオンラインデモ。
下部に見える4つのスライドを動かすと、上部の回路の抵抗値がリアルタイムに変化し、出力電圧の変化を観察できるというもの。これもインターネットの発達の賜物で、一昔前にはこういったデモンストレーションを作成するのにも苦労したものです。それを全世界に簡単にやってみせる…すごい時代ですね。

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同じWebサイトには計算機も常備されています。物理学ベースのエレクトロニクスということで、計算は常に何重もの括弧をつかった複雑なものになるため、通常の計算機では無理が出てきます。これは括弧はもちろん、三角関数(sin cos tan)などの特殊な計算もできるようにできています。
我々にとっては計算機は珍しいものではないかもしれませんが、おそらくは発展途上国の人たちにも不自由なく受講できるように、という配慮ではないでしょうか。

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更には教授の(おそらく)アシスタントによる、追加授業も用意されています。違った説明を聞くのも勉強になりますね。

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さて、新しい内容を学んでいるときにはどうしても疑問点がわいてくるものです。それらを質問したいですよね。オンラインコースではディスカッションフォーラムが用意されています。
受講生の数は万単位。それらを教授+アシスタントではとても処理することは不可能です。ですので、受講者同士でディスカッションして質問・疑問点を解消していこうというものです。
先に宿題を終わらせた人(提出すれば即座に自動採点されるので、正解かどうかがその場でわかる)や、院生(?) が答えてくれているようです。しかしもちろんそこには厳しいルールが用意されています。当然ですが、答えを直接教えてはいけない、というもの。みんなで監視しあい、たいていの人が真摯にルールを守ります。答える側も自身の理解の補強になりますし、説明を工夫する必要があるので、とても有意義なフォーラムとなるようです。
基本は当然英語。ここでも英語力が重要になってきます。僕の個人的なプログラミングでもそうですが、インターネットには無数の質問フォーラムが存在し、そのほとんどが英語でやりとりされています。内容にもよりますが、数分のうちに答えが返ってくるのはやはり世界では英語を話す人の数が圧倒的に多いことを意味しているでしょう。
 
それにしても、日本での教育過程では不思議と同じ授業をとってる人同士では強力し合うということが少なかった気がします(僕だけでしょうか…?)。同じ学年でもできる人、できない人の個人差がでてくるのは必然なことであり、それが駄目なこと…そんな雰囲気が日本の教育現場にはあったような気がします。お互いに助け合い、進んでいる人がそうでいない人を助ける…単に相互の理解向上だけではなく、先生の負担も減るという利点もあると思いますが、横並び根性がいまだにはびこる日本では上手くいかないようですね。「みんなが一緒じゃなければならない」、という不可思議な思想がみんなに不利益を与えていることにいつ気づくんでしょう…

世界トップレベルの授業とは:MITオンラインコース2週目突入報告…

先日の記事の続きです。

MITの提供する無料オンライン講座、エレクトロニクスは2週目に突入しました。
最初の週の宿題は無事に提出し終りほっとしたところですが、もちろんそれが難易度が上がり続きがすぐに用意されています。

1週目を終え、全体像が見えてきたこの公開講座。無料とはいえMITの冠に恥ない内容であることはたしかです。
期限内に宿題などの課題さえこなせばどんな時間に受講しても構わない、ということは最大の魅力の一つでしょう。もっとも僕はまとまった時間に一気にやりたい性分ですが…
動画の再生スピードを速めれば時間短縮もでき、とても快適です。これからの時代の教育を象徴しているかのようです。

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画像を見れば分かるとおり、教える講師(教授:Anant Agarwal)はインド系の方。喋る英語もわずかですが訛りがあるものの、とても綺麗な英語を話します。
動画では顔を出すことはほとんどなく、だいたいはスライド画像に文字や絵を書いていく映像です。後述するデモンストレーションの時だけ本人が登場します。

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動画構成は一つ5分から8分くらい(僕は常に1.5倍速で聞いているのでもっと短い)。それがいくつも連続して用意されており、全部で一つの授業内容をカバーします。

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所々に挿入されているのはクイズ(小テスト)です。講義を聴き、クイズを答え、また聴く、を繰り返します。クイズは最終成績には反映されませんが、内容を理解しているかを確認するためには重要です。

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クイズはこんな感じです。入力フォームに数値、もしくは数式を入力し、チェックボタンを押すと正誤判定してくれます。リセットすれば何度でもやり直しができ、答えも見ようと思えば見ることができます。 
でもクイズをやってみるとなかなか正解が得られない。それもそのはず。クイズのほとんどの内容は、その後続く講義でカバーされているからです。つまり、

とりあえず自分で考えてやってみろ!

その後説明してやる!

という構成です。一見すると理不尽ですが、効果は抜群。前持って考えておけば、講義内容のポイントに集中することができます。その後再度クイズに戻って確認すると更に効果的なのは言うまでもありません。

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内容がエレクトロニクスと言うこともあり、実際に電子回路で実験することはとても重要になります。このコースではポイントごとに映像が切り替わり、その実験をデモンストレーションしてくれます。百聞は一見にしかず。

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この回路に刺さっているのはピクルス。あのハンバーガーなどに挟まっているやつです。回路の抽象化というデモンストレーションですが、これが笑える。僕も動画を見ていて思わず笑が込み上げました。所々にジョークを混ぜてくれる、それも講義の内容を理解するのに役に立ちます(ちゃんと聞いていないとどこが面白いかわからないでしょ?)。

誰でもそうでしょうが、学校教育では無数の先生の授業を受けたことがあるはず。この先生は間違いなく、僕の人生の中でトップ3に入る先生です。勿論、「先生がダメだから僕はできない」、という言い訳は卑怯であり、「僕は実際にそれができない」という現実を改善できるか?という意味でも生産的ではありません。ダメな教え方をする先生だったので独学で頑張って向上させる、というプラス思考も考えられます。しかし、本当に良い先生は生徒の理解の向上だけでなく、モチベーション維持という意味でも素晴らしいものを発揮してくれます。

コース全体には相当の準備を要したに違いありません(教授は指示だけで、アシスタントが作業したんでしょうが…)。こんな素晴らしい先生の授業を受けられるのは、本当に幸福なことです。内容の理解力だけでなく、「ああ、こんな風に人に説明できる人間になれたらな…」という夢も膨らみます。

こういった無料の公開講座が増えてくることは間違いなく、世界中の教育に影響を与えることは必至です。問題はどんな内容が増えてくるか…課題の提出、並びに、自動採点の現実味を考えると、理系科目がほとんどを占めるでしょう。プログラミング、エレクトロニクスが可能ならば、数学も可能なはず。現在はまだある程度の基礎知識がある人向けですが、もっと基本的な内容が増えてくるかもしれません。

欠かせないのは英語力。英語力があれば可能性はどんどん増えてきます。外国語教育も無料で…と言いたいところですが、こればっかりは「対人練習」を必要とするため、簡単には無料は実現しないでしょう(最近話題のSiriなどの人工知能が発達すれば可能かも…)。むしろ、教育費用を(日本の場合なら)英語力だけに特化し、その他の理系科目は無料の…といった考え方ができますね。



大学教育の新時代:オンライン講座



MITx:
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MIT(マサチューセッツ工科大学)が全世界に向けて無料提供するクラスが今週始まりました。他にもスタンフォードの公開講座を取っているんですが、こちらにも注目すべき点が豊富です。

内容はエレクトロニクス。通常の電子工作ではなく物理を基本にした高度なもので、数式はもちろん、マクスウェルの方程式なども理解している必要があるようです。
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通常の動画講義です。スピードが4段階に切り替えられ、右には話した内容が文字に起こしてあり、自動で動画を追っていきます。
オンライン講座と言えば動画で講義を聞くだけと思っている人も多いかもしれません。しかしこれは違います。完全に受講者参加型です!宿題あり試験ありと、自分でも勉強していかないと着いて行くのはかなり厳しい内容です。

しかもこのMITのコースは更にすごい!エレクトロニクスという内容もあって、実際に電子回路を組むという必要が出てきます。残念ながら電子部品が提供されるわけではありませんが、違う方法でそれを実現します。

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コース・サイトにはこのようなアプリケーションが用意され、
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マウスのドラッグアンドドロップによって電子部品をのせていきます。
実行ボタンを押せば電気が流れるシュミレーションによって電子回路の実行結果が見られます。

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こちらが結果です。少し前までは自分でこういったソフトを購入またはフリー版を探して、自分のパソコンにインストールして使っていたものですが、その全てがWebサービスという形で提供されています。操作も快適で(回線の影響もあるでしょうが…)ストレスを全く感じません。
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更にすごいのはこれ。なんと教科書丸々提供されています。
クラウドバージョンのKindleのように、ページをめくって目次から索引まである、本一冊オンライン提供になっています。これは驚いた…(無料ってところがです)
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動画の中で使われたスライドはPDFになって配布されます。これもかなり便利。ノートを取る必要がないからです。


テストや小テスト(クイズ)は計算や実行結果を数字で入力するものがほとんです。
やはり理科系の内容だから可能なオンライン講座なのではないでしょうか。

言うまでもなく基本は英語です。多言語で提供されていますが、翻訳に時間がかかったりすることがあるので、訳を待っているのは生産的ではありません。僕の英語力は講義を1.5倍速で聞いてもまず聞き逃すことはない程度なので不自由がありませんが、英語力があるとこういった機会に恵まれるという意味でも重要かもしれません。

内容はMITで提供されているものと遜色なく、経済的物理的理由で大学に通えない人にもその教育のチャンスが巡ってきている時代と言えるかもしれません。しかも無料という…
日本の大学のありかたが激しく議論される今日この頃ですが、その議論を更に加速させるものになるかもしれません。

(あ、日本の英語教育が進歩してからかな…)